8月5日のブラックマンデーで私の評価益も1時かなり溶けてしまいました。しかし、1月程たち、日経平均も7月11日に付けた最高値4万2000円台にはまだまだですが、8月末には3万9000円台近くまで回復し、8月5日に3万4500円を割ったところからは6割ほどの戻りです。
対して、買い増し効果もあり、私の持ち株の評価益も8割以上戻ってきてくれました。やはり、高配当銘柄はこうした局面でも強いことが証明されたかたちになりました。
そこで、今回は2024年度に入って、株主還元方針に累進配当またはDOE(株主資本配当率)を導入した安定かつ高配当銘柄を紹介したいと思います。
安定株主還元方針を宣言した高配当5銘柄
2024年4月以降に2023年度本決算や新中期経営計画で株主還元方針に累進配当またはDOEを導入する企業も多数ありました。その中から、以下の高配当(2024年8月末時点)の5銘柄をピックアップして紹介します。
銘柄 | 株価 (8月末) | 年間配当 (1株) | 利回り (%) |
有沢製作所 | 1523 | 84 | 5.5 |
ファルコHD | 2430 | 120 | 4.9 |
イーグル工業 | 2042 | 90 | 4.4 |
西部電機 | 1895 | 84 | 4.4 |
アクモス | 579 | 25 | 4.3 |
どの企業も4%以上の高配当銘柄です。ブラックマンデーによりまだ株価が戻っていない高配当銘柄も増えているので、以前から安定株主還元を導入している企業も含めて検討してみてもよいかもしれません。
累進配当またはDOE(株主資本配当率)の説明についてはこちらもご覧ください。
有沢製作所
有沢製作所は、パソコンやスマートフォンなどに組み込まれる電子材料、航空機用パネルなどの産業用構造材料のメーカーです。時価総額は500億円程度の中小型株になります。
当社は、2024年4月に株主還元方針の変更を発表しました。内容は、DOE基準を導入するもので具体的には以下の通りです。
安定性を志向した配当である「株主資本配当率(DOE)6%」または利益分配を志向した「総還元性向 80%以上」のいずれか大きい金額を株主還元とする
この方針変更を受けて、2023年度の年間配当60円/株が2024年度は84円/株へと大幅増配予想となりました。2024年度1株利益が72円と配当性向が100%を越えている懸念はありますが、自己資本比率は70%近くあるので、暫くは問題ないと思われます。
ファルコホールディングス
ファルコホールディングスは、臨床検体検査受託の大手で、調剤薬局の展開や電子カルテ、レセプト総合支援サービス等の医療情報システムの開発・販売を行う医療サービスの提供企業です。時価総額250億円程の中小型株で、東証スタンダード市場に属しています。
当社は、5月に2024年度からスタートする中期経営計画「FALCO INNOVATION 2026」を発表しました。その中で、配当基準のDOE基準を導入する株主還元方針を掲げました。具体的な方針は以下の通りです。
令和6年度より、株主還元に関する指標を連結純資産総還元率から連結純資産配当率(DOE)に変更し、株主還元については連結純資産配当率(DOE)5%を目標といたします。
結果、2023年は普通配当80円に記念配当35円を加えた年間115円/株の配当を、普通配当だけで120円/円となりました。配当性向は75%と若干高めですが、自己資本比率も70%を越えています。PBRも1倍弱なのでPBR1倍も意識した方針と思われます。
イーグル工業
イーグル工業は、自動車や航空機向けにメカニカルシールや特殊バルブを提供するメーカーです。メカニカルシールは、ポンプやコンプレッサーなどの回転機械の動力を伝えるシャフトに設置されるパッキン部品の一種だそうです。時価総額は900億円程度です。
当社は、今年5月に現行の中期経営計画における株主還元の方針の一部変更を発表しています。内容はDOE基準値の引き上げで、具体的な内容は以下の通りです。
「DOE2.5%以上を目安とし、各期年間70円の配当の継続」を配当方針としておりましたが、これを「DOE3.0%以上を目安とし、各期年間80円以上の配当の継続」
PBRも0.8倍と1倍を大きく下回り割安ですし、方針の金額にも「以上」がついたので今後の増配も期待できそうです。
西部電機
西部電機は、立体自動倉庫やマテハン、ピッキングシステムなど物流には欠かせない搬送機器やアクチュエーターと呼ばれるエネルギーを、直進移動や回転・曲げなど、何らかの動作に変換する産業機器メーカーです。時価総額は300億円程で、東証スタンダード市場に属しています。
当社は、今年5月に2027年度までの新中期経営計画「Seibu Vision 2027」を発表しました。その中で、従来の配当性向による配当方針をDOE基準に変更しています。具体的な内容は以下の通りです。
株主の皆様への利益還元強化、及びROE10%の実現に向けて、2024年度からの配当は、DOE(連結純資産配当率)4.0%を目安といたします
2023年度年間40円/株が2024年度は年間84円/株と倍増以上となり、業績による減配リスクがなくなりました。自己資本比率も60%超、配当性向も60%程度なので問題はなさそうです。
当社は、3月末に100株の保有で1,000円のQUOカードの株主優待も実施していますので、総合利回りではほぼ5%と非常に高配当です。
アクモス
アクモスは、企業や自治体のITソリューションのSI・ソフトウェア開発、ITインフラ構築やIT保守サービスを提供するICTサービス企業です。時価総額は60億円強で小型株の部類になります。
当社は、8月に発表した「中期経営計画2027」の中で株主還元方針の変更をしています。累進配当方針を盛り込んだ具体的な内容は下記の通りです。
当期純利益に対する配当性向 50%以上を目安としつつ、中期経営計画2027の期間(2024年7月1日~2027年6月30日)においては、累進配当を導入し、前年実績の水準に対して、維持又は増配を行う
配当性向55%、自己資本比率も60%程度なので問題はなさそうです。何よりPBRが0.6倍程度と非常に割安なので、継続的な増配を期待してよいと思います。最近はこうした小型株でも累進配当やDOE基準の安定配当方針を導入する企業も増えてきたのは嬉しい限りです。
まとめ
自分の年齢や投資方針にあわせた銘柄選びは非常に重要です。今回のブラックマンデーのようなことは度々あるものではありませんが、2020年のコロナショックも考えると数年に一度は起きるものと考えないといけないのかも知れません。それも前提とした戦略や意識が必要なのでしょう。投資のプロへの相談も一つの手段なのかもしれません。